七輪陶芸と黒陶とは
4月と5月のワークショップでは選択制のコースを3つ用意しました。
その一つが七輪陶芸と黒陶のコースです。
*悪天候が続く為、屋外で開催する七輪陶芸の開催は見送らせていただきます
これから先の説明は、今まで陶芸やっていたけど、七輪で本当に焼けるの?
陶芸ってこんな感じというイメージはあるけど、黒い陶芸って何?など疑問に思い、さらに私のワークショップを受けたい人への説明になりますので、技法を詳細に紹介するブログではないこと、もっとこう書かないといかん!などの専門分野からのお怒りもあるかもしれませんが、ご了承ください。
脳内で普段の授業をやっているような感じで書き進めますので、話口調になります。
まず七輪で本当に焼けるの?という疑問から説明していきますね。
通常、陶器作りは最低でも1週間〜10日はかかります。
窯はクッキーを焼くオーブンではないので、その日に火を入れてチンしてその日に取り出す!
というわけにはいきません。穴窯で2週間火をいれる作家さんもいますが、陶芸教室にあるような電気窯では火を点けてから冷まして出すまで最短3日はかかります。
粘土で形作り→乾燥→(素焼)→釉掛け→本焼
七輪陶芸とはその名の通り、七輪を使用してこの一週間かかる行程を半日で仕上げます。
この技法は専門書も出されていて、やる人によって様々な工夫がされながら、七輪陶芸は普及していっています。
確かに半日で仕上げることもできますが、形を作って整えて乾燥させてと忙しなくなってしまうことと、その日に作ったものをその日に焼き上げるのは水蒸気爆発のリスクもある為
今回の七輪陶芸は2回(二日)に分けて、成型や乾燥に十分に時間を設けることにしました。
七輪陶芸と黒陶のコースのスケジュールは以下の通りです
・1日目:粘土で形を作る(ぐい呑や小物2個ほど)、黒陶の作品を作る(小物)
・2日目:素焼きを済ませた、ぐい呑や小物に釉薬を掛けて七輪で温めて釉薬を乾燥させる
乾燥の間に黒陶の仕上げ、七輪で作品を焼き上げる(800度程度)
通常、陶器を焼き上げる「本焼」と言われる温度帯は1230度〜1300度程度です。
今回の七輪陶芸では800度〜900度まで温度を上げて焼成しますので高温で溶ける釉薬を使うと七輪では溶けずにボソボソとした表情になってしまいます。
(七輪でも1200度以上温度を上げることもできるそうです)
今回、私が行う七輪陶芸では低温で溶ける釉薬を使用します。
さて、素焼きした素地に低温の釉薬を掛けて七輪で熱して、急冷させて終わり!!!
というわけではなく・・・
さらにここでもう一つ新しい名前が登場します。その名はアメリカンRAKUです。
大丈夫ですか、ここまでついて来れていますか?ここからが重要なので、もし読み疲れたならば一度休憩してから、また読み進めてください。
〜休憩〜
さて第二部、アメリカンRAKUについてです。
アメリカンRAKU(アメリカン楽)は日本の伝統的な技法の楽焼が欧米で発展して確立した技法です。アメリカンRAKUは、熱した陶器を一度取り出して木の葉やおがくずなどで いぶしながら釉薬に変化をつける方法です。
今回は七輪陶芸で800度〜900度まで熱した器を一斗缶などの容器に木屑と共に入れて炭化させます。炭化した後にその容器を密閉し、容器の中で徐冷させながら還元をさせます。その後まだ熱がある陶器を水を張った容器に入れて急冷させます。一気に熱して急冷をさせますので
包まれた形(例え小さな穴が空いていても)や繊細な細工がされた物(細い取手がついた)、タタラで組み立てた作品は壊れてします可能性があります。
熱い状態で取り出したり木屑でいぶす際に火の粉が舞う可能性もありますので、参加
される方は必ず長袖長ズボン、スニーカーのようなつま先の隠れた靴でお越しください。
即興性のある技法なので完全なるコントロールは難しいのですが焼くたびに異なる釉薬の色や表情をお楽しみください!
さて、最後に黒陶についてです。
黒陶とは、釉薬を使わずに素地そのものを黒くさせます。
素焼きをした作品を木屑に埋めて焼き上げます(800度)。炭素を素地に吸収することにより真っ黒の焼き物ができます。気がついた方もいると思いますが木屑を使う事はアメリカンRAKUと共通していますね。アメリカンRAKUよりも長時間木屑に埋めて焼き上げるので、より真っ黒に炭化します。さらに焼成前に表面をツルッとした石や固い金属で磨くことでまるで金属のような光沢が出ます。この黒陶はBC2000年ころから中国で行われていた技法だそうです。
最後に・・・
七輪陶芸と黒陶ともに共通して言える事は低温での焼成になるので、焼き締まりが甘いです。
また焼く際に使用する、七輪や黒陶に使用するサヤ鉢も大きさに限りがある為に
このコースに限りましては、5cm×5cm程度の大きさのぐい呑と小物3点ほどの制作に限定させて頂きます。釉薬をかけた陶器とはまた全く異なる焼き物作品が出来上がります。
ご参加いただける方は、1日目に説明しながらお配りした粘土で形作りから始めますので、ご自宅で作られた作品やお持ちになった粘土や釉薬、顔料はお使いになれませんのでご了承ください。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。