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    つくること 

     

    点と点、線と線を結んでいく。

    この単純な動作の積み重ねで形を作り上げました。

    この動作は素材から引き出されたものです。

     

    素材を扱う中で、自分の予定通りにはいかないことが多くあります。

    それは失敗ではなく、時として「きっかけ」になります。

    その「きっかけ」から素材への発見や新たな動作が生み出されます。

    今回の作品へのきっかけも、ふとした作業行程の中から生まれました。

     

    ある日、窯から作品を取り出そうとした時、窯の中に敷いてあった

    シャモット(*注1)が作品の裏にぎっしり固まって塊になっていました。

    本来、邪魔なものでしかないはずのその塊は、私に新しい素材へのきっかけを与えてくれました。

     

    新たな動作が生み出されるように、日々、素材との関わりの中でどこか予定調和からはずれた出来事を

    こころ待ちにしています。こうした出来事に出会う為、制作中「つくりなれない」環境下に自分をおくことを

    大切にしています。

    そうすることで、まるで暗闇でドローイングをするかのように、目先のことではなく、もっと感覚的に

    手が導いてくれるのです。

    何か決まった形を作ろうとするのではなく、その時々の出来事から引き出された動作をきっかけとして

    形を探っています。

    形の始まりは自分で選んでいるのか、素材からの反応か、はたまた環境の変化か、その時に見た光景か、

    これらの境目はとても曖昧です。

    どれかではなく、すべての微な反応が重なり、歯車となって動き出して形を見つけていきます。

     

    こうして出来上がった形は私の中にある、たしかな時の質量なのです。

     

    *注1:シャモット

    耐火粘土を摂氏1300~1400度で加熱したのちくだいて小さな粒にしたもの。

    耐火煉瓦の原料として使われる。陶芸では作品を窯に詰める際に使われる。

    窯詰めの際に作品の下に敷くことによって作品の収縮の助けをしたり

    釉薬が流れて直接、棚板につかないような役割をする。

     

     

                                                                                                                                             2016年3月 原裕子